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坐る、ということ──藤田一照氏が伝える、体が教えてくれる「いま、ここ」

更新日:10月5日

(本ブログは、過去に登壇をいただいた、Zen2.0の登壇者の方々の講演記録から書き起こしをさせていただいております。)

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藤田一照(ふじた・いっしょう)

元,曹洞宗国際センター所長。アメリカでの17年間の禅指導を経て帰国後、坐禅の本質を現代に伝える活動を続けている。従来の「型」を教える坐禅ではなく、一人ひとりが自分の体との対話を通じて発見していく坐禅を提唱。


坐禅は「やり方」ではなく「在り方」

「坐禅というのは、決まったパターンを覚えて、それを維持するものではないんです」


藤田一照氏のワークショップは、参加者が建長寺の静かな空間で、自分の足裏が畳に触れている感覚を確かめるところから始まりました。正座でも、あぐらでも、椅子でもいい。大切なのは、今この瞬間、自分の体がどう地面と出会っているかを感じること。


多くの人が坐禅に「正しい型」を求めます。背筋を伸ばして、動かずに、じっと。でも一照氏が参加者に繰り返し問いかけたのは、「今、あなたの体はどんな感じですか?」という、もっとシンプルで、もっと根源的な問いでした。


「地面が体の中に入ってくるような感じがないですか?体が地面に溶け込んでいく、そして地面が体に入ってくる。両方が同時に起こっている」

グラウンディング──大地との繋がりが全てを変える

建長寺の本堂で、参加者たちは一照さんのガイドに従って、まず仰向けに寝転びました。背中、腰、両足、両腕、頭──体のどの部分が畳に触れているか。その接地面を一つ一つ確かめていきます。


「これがグラウンディングです」と氏は言います。地に足をつけること。でもそれは物理的に接しているという事実ではなく、その繋がりを意識し、信頼するということ。


「下にあると安心して頼れるから、上半身を手放せる。この確実の底があるから、その上に垂直性を見出すことができる」

地面がしっかりと自分を支えてくれていると体が理解すると、不思議なことに、余計な力が抜けていきます。筋肉で無理やり姿勢を作る必要がなくなる。防御も、緊張も、少しずつ溶けていく。


鎌倉の石段を歩くとき、海辺の砂を踏みしめるとき、私たちはいつもこの大地との対話の中にいます。ただ、それに気づいていないだけなのかもしれません。


エクササイズではなく、エクスプロレーション

「exercise(運動)とexploration(探求)は全く違うんです」


一照さんが強調したのは、坐禅は決まった動きを反復するエクササイズではなく、未知への探求だということ。毎回、自分の体に問いかけ、今日の体の状態を発見していく。昨日と同じ「正解」はない。


参加者たちは、背骨の一つ一つが空間に浮かんでいるようなイメージを持ちながら、座る姿勢へと移行していきます。腰から胸へ、胸から首へ、首から頭へ──まるで風船のように、それぞれの骨が上へ上へと浮き上がっていく。


「自分が思っている垂直線を押し付けることではなく、体の方が知っている垂直性を発見していく。これはもう体にとっては幸福で、不快感と痛みがないものなんですね」

緊張(tension)で作られた姿勢は、いつか崩れます。でも、快(pleasure)の中で見つけた姿勢は、自然と持続する。それは努力ではなく、発見なのです。


いま、ここで、あなた自身の坐禅を

ワークショップの最後、参加者たちはそれぞれの「今日の垂直性」を静かに探していました。完璧な型を目指すのではなく、今この瞬間の体との対話の中で。


坐禅の本質は、決まった形を再現することではありません。毎回、新しく、自分の体に耳を傾け、大地との繋がりを感じ、そこから立ち上がってくる姿勢を発見していくこと。


それは、鎌倉という街全体で体験できることでもあります。古道を歩き、寺の庭に座り、海風に吹かれながら──この街のあちこちで、私たちは「いま、ここ」と出会い直すことができるのです。


でも、この発見の本当の面白さは、思考の中だけにあるのでしょうか?


もしかしたら、その答えは、鎌倉の石段を一歩一歩踏みしめる足音や、お寺の庭で頬に触れる風の感触、そして、この街で出会う人々との何気ない会話の中にこそ、隠れているのかもしれません。


今回のような探求の対話は、私たちのYouTubeチャンネルでいつでもご覧いただけます。時代を超えた叡智と今を生きる私たちの問いを結びつける対話を続けていますので、よろしければチャンネル登録でご一緒ください。



そして、もしあなたが「頭で分かる」から「体で感じる」へと、この探求を深めてみたくなったなら。この秋、鎌倉全体を舞台にした「Mindful City Kamakura Week」で、お待ちしています。自分、自然、そして出会う人々との繋がりを、五感で再発見する特別な一週間です。


今年のZen2.0は鎌倉の街全体を寺院とした〜Mindful City Kamakura Week〜


この秋、鎌倉の街全体を舞台にした新しい挑戦「Mindful City Kamakura Week」がはじまります。11月16日から22日の7日間、海や山、森や寺社仏閣といった鎌倉ならではの豊かな自然と歴史ある文化空間が、マインドフルネスを体験し表現する舞台へと姿を変えます。


テーマは「Spirituality in Nature」。Zen2.0で8年間育まれてきた精神を礎に、日常に寄り添う実践をさらに広げ、誰もが自らの感性を持ち寄って共に創るフェスティバルです。プログラムはワークショップや対話、伝統芸能やアート、食やビジネスの取り組みに至るまで幅広く、参加者自身が「出展者」として企画し実現できる開かれた仕組みとなっています。


イベント詳細はこちらから。

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福井県でも11月にZenのイベントを開催

Mindful City Kamakura Week
Zen2.0

This event is organized by Zen2.0.

Zen2.0は、神奈川県鎌倉市で毎年開催されている禅とマインドフルネスの国際カンファレンスです。

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